コミック百合姫でわたゆり連載中の未幡先生に、ファンレターを書きました
きっかけ
このツイートでした。
ひじょうに字の美しいファンレターをいただきました、いたく感動しました。ありがとうございます。なにしろ効きます。 pic.twitter.com/aAwB7f7RgI
— ツナミノユウ (@tsunaminozazen) 2017年12月12日
この破壊力。。
私も、このような素敵なお手紙を誰かに送りたい、と思うようになったのですが、筆不精かつ字が下手なので、躊躇しておりました。
しかし、筆不精な私が、どうしても感想や想いを語りたい、残しておきたいと思う作品に出合ったのです。それが未幡先生の「私の百合はお仕事です!」でした。
少し前に大いに語らせていただきました。
このように、自分の気持ちを、できるだけ言語化して残しておいたのですが、僭越ながら、この気持ちを直接先生にお届けしたいと考え、筆をとることにいたしました。
といえ、手紙を書いた経験など、私にはありません。Googleに「手紙 書き方」と入力するところから始めました。
準備
内容の準備
まずは書くことを用意しました。書きたいことなど、いくらでもあるのですが、あまり長くても失礼でしょうか。
時候のあいさつ、便箋に二枚程度の本文、結びのあいさつをまとめておきました。
時候のあいさつ…?という私に86万件の検索結果を示してくれるGoogle。お世話になりました。
便箋、封筒の準備
文具・画材などを扱うところで、実物をみながら選ぶことにいたしました。未幡先生は自画像が鳥でいらっしゃいますので、鳥がお好きなのでしょうか、と思い鳥が描かれている便箋・封筒を選びました。
自画像は羊にすればよかった、と、いつか先生が仰っていたような。。
切手の準備
なんとなく季節感を出そうと冬の切手を選びました。選んだ切手が62円のもので、二枚貼りました。最近では自分のオリジナルの切手を作るサービスがあるようですね。
絵が描ける方はこういった切手もよいかもしれません。
書く
実際に便箋に書く前に、何度かノートに試し書きをいたしました。ついでにきれいに書けるように「ひらがな コツ」で検索しておきます。
結果は、まあ、一朝一夕で上手くなるようなものではありませんでした・・・。
「お」と書きだそうとして、間違えて「あ」と書いてしまった便箋。なにをしているんだ。。
さて、あとは封筒に宛先を書き、封をして投函するだけですが、どうしてもやりたいことがありました。それは封蝋(シーリングワックス)です。
封蝋をしてみる
封蝋というのは、便箋などの封をする際に、溶かした蝋を用い、上から印璽、蝋が固まり封をする、というものです。印璽により、差出人が印璽を持つ人物であること、また蝋が割れていないことで、未開封であること、そのふたつの証明するためのものだったようです。100円ショップにあるものでもできるようですが、素人なので簡単にできそうなキットを購入してみました。
ワックスの色はなんとなくリーベの制服の色にしてみました。印璽は鳥のものにしました。羊は、無かったのです。。
簡単かと思っていたのですが、存外に難しいものです。蝋の芯の燃え残りが落ちてしまったり、気を付けていても煤が混じってしまったりとなかなか上手にはいきません。
作業中の様子。本来は封筒の上に直接蝋を落とすのですが、今回はクッキングペーパーの上で作り、上手にできたものをボンドで接着するという簡単な手法をとっています。
大体こんな感じに仕上がりました。
実際にはちゃんと糊で封をしたうえで蝋をつけています。本当にただの飾りですね。
また、開封するときは蝋をパキリと割るようです。最初に開ける方(編集部の方でしょうか)には是非ともパキリと割っていただきたいです。
読んでいただけるといいなぁ。
おわりに
今週はファンレターというものを書いてみました。手紙を書くこと自体が初めてで戸惑うことばかりでしたが、気持ちを伝えるには良いツールなのではないかと思います。電子でいくらでも文字のやり取りができる利便性が、逆説的にアナログの価値を高めているのが可笑しいですね。
この記事に興味を持ってくださった方も、ぜひ大好きな方に手紙を書いてみてはいかがでしょうか。
ついでに百合姫本誌、コミックスに付属するアンケートはがきも送付しておきました。
エクレア bleue 発売記念複製原画展に、書泉に行きました
エクレア bleue あなたに響く百合アンソロジー が2018年1月27日に発売になりました。
それを記念し、各百合部さまの店舗にて複製原画展が開催されております。
エクレア bleue 発売記念複製原画展【会場限定特典あり】 - 書泉/神保町・秋葉原
私は未幡先生の色紙を拝観させていただくため、書泉ブックタワーに伺いました。
というのが、先週の活動です。
こちらがそのとき購入、頂戴したものなのですが、
未読でしたエクレア3冊と、電子書籍しか所持していなかった文尾文先生の「私は君を泣かせたい」2冊を購入いたしました。全5種のブロマイドを一枚ずつ頂きました。
この、右端の見切れているもの。
これ
こちらに必要事項の記載を行い、書泉さまに提出いたしますと、色紙・複製原画が、抽選の上となりますが、いただけるそうです。
欲しいのです。
というわけで、今週も、秋葉原にあります、書泉ブックタワーに伺うことにいたしました。
総武線秋葉原駅、昭和通り口改札を出てすぐ右に見える建物です。全体的に落ち着いた雰囲気で、ゆったり本を見て回れます。そして、8Fに百合部さまのスペースがあります。
応募券を提出し、店内の色紙等を撮影してもよいですか、と伺ったところ、快く許可をいただきましたので、何枚か撮影させていただきました。
プレゼント対象の色紙。欲しいのです。
未幡先生の「私の百合はお仕事です!」の陽芽の色紙。思わず跪きそうになるのを我慢していました。
缶乃先生の「あの娘にキスと白百合を」のポスターに描かれたサイン。
こちらは色紙のイラスト。白黒のふたり。良いですね。。
他にも何枚もの色紙が飾られたおりました。
そして、こちらです。
待って!閉じないで!
こちらは
『書籍情報』百合アメコミ「サンストーン vol.1」が1月23日に発売!
— ふりっぺ (@yuri_navi) 2018年1月19日
アメリカで話題の百合コミックが日本に上陸!
この度、出版元である誠文堂新光社様ご協力の下「サンストーン」に関する紹介記事を掲載させて頂きましたー!https://t.co/ZRix14ihBC pic.twitter.com/nBqDKnKFls
で
書泉ブックタワー8階、書泉百合部さんのコーナーに『サンストーン』のポップを飾っていただきましたー! 仲間に入れてくださって、本当にありがとうございます╰(*´︶`*)╯♡ pic.twitter.com/jBGnnacIwT
— G-NOVELS (@GNOVELS_BOOK) 2018年1月25日
で
気付いてしまった このポップの後ろにあるやつがぼっち盲であることを…
— 寝路 (@nejirinbooo) 2018年1月25日
というものです。
たしかにぼっち盲でした。
というわけで、普段は部屋にこもり、電子書籍で楽しませていただいているのですが、今回は部屋を出て活動してまいりました。
デジタルでない、紙の書店では、素敵な展示や意外な本との出会いがありました。
こういった楽しみがあるのが、紙の書店ならではですね。今後はもう少し、外での活動を増やしたいです。
以上、活動のレポートでした。
とても楽しく過ごせました。近いうちに、またお伺いしたいです。
購入しました。
「私の百合はお仕事です!」について、感想というか、語りたいこと
はじめに
本稿は一迅社・百合姫コミックスから刊行されている未幡氏が著作された「私の百合はお仕事です! Schwestern in Liebe!」(わたゆり)について、私が思うわたゆりの魅力を自由に書いたものです。
内容は二巻までのネタバレを含みますので、本編を未読の方は、ぜひ本編をご照覧いただいてから、興味がございましたら本稿に戻ってきていただければと思います。
ネタバレ気にならないです、という方も「私の百合はお仕事です!」の物語体験を損なってしまう恐れがございますので、まずはぜひ本編をお読みください。
また本稿で触れる範囲は、本稿をまとめた 2018/1/27 時点で刊行されているわたゆり1巻・2巻の内容のみです。
素敵な表紙、カバー下の本体表紙も素敵です。そして内容も素敵です。ぜひご購入ください。
kindleでは本稿編纂時の2018/1/27 から 2018/2/1までは一迅社フェアで50%ポイント還元だそうです。
わたゆりの魅力的な「舞台」について
ドイツのミッション系女学園、のコンセプトカフェという舞台設定は古典と現代の境界を歩くかのような目を引く設定です。ですが、目を引くだけでない魅力がこの舞台にはあるように思います。
ゲスト、という存在について
わたゆりの舞台、コンセプトカフェにやってくるふつうのお客さんは、作中ではゲストと呼ばれています。その存在こそが、このコンセプトカフェという設定で最も有効なものなのではないかと感じています。
ゲストは、陽芽の言葉でいう、「なんか少女漫画みたいなやつ」にワァァ、となっているシーンが幾度か出てきます。また、別のシーンでは、ワンフレーズも言えない陽芽にほっこりしています。
そのようなシーンで、あるいはほかにも、何度か私は、ゲストと同じ感情になったシーンがあります。この感覚はとても面白いものでした。
私は一人で読んでいるはずなのに、「ワァァ」となる気持ちや、「ほっこり」する気持ち、そんな自分の感情を、大勢の人と共有しているように感じていました。
この感覚を表す言葉は、なんでしょうか。「一体感」という言葉がすわりが良いでしょうか。
彼らと一緒にリーベでの出来ごとに一喜一憂する、そんな感覚を楽しめる舞台設定に、大きな魅力を感じています。
読者として、全く別の視点に立っているはずが、いつのまにか、カフェの隅のテーブルに案内された、ひとりのゲストになってしまったかのようで、とても楽しませていただきました。
描かれてはいませんが、私も一緒に「ワァァ」となっています。
演技をするという設定について
仕事中、ゲストの前では演技をし、ゲストに見えないところでは素で振る舞います。主人公の陽芽は、シフト2で美月と姉妹となり、カフェ内では、姉妹は仲良く振る舞いますが、素のほうでは、美月のほうは陽芽のことを大嫌いだと言い、陽芽は好かれたい演技をしているだけだと言います。
この二人の関係に、私は当初、素では仲の悪い相手、お互いに嫌いあっている相手と、姉妹を演じているうち、徐々に嫌いだったはずの相手に惹かれていく…そんな展開を予想していました。
洋の東西を問わず、そういった類型の物語をよく見ます。恋人のふりを頼まれた、だったり、あったことのない許婚と婚約させられた、だったりするものです。ふたりの関係性が先に出来上がり、内実が後からついてくる、という物語形式です。よく見る類型ですが、非常に強力で、読み手を魅了して止みません。もちろん私も大好きです。
大好きな類型なので、図らずも、それは「私の百合はお仕事です!」というタイトルを見た時から、思わず期待してしまっていました。
しかし、シフト5あたりから、その予想はゆるやかに裏切られていき、気づくと、先の展開が予想できず、結果的には大好きな物語となりました。
私は展開の予想ができる話も大好きです。先が予想できるということは、すなわち、その展開になることを期待しているからです。ですがわたゆりは、私が期待した以上の物語を紡いでくれました。
とはいえ、私の期待した展開が全くなかったわけではありません。シフト9では、店長に自分の自然な気持ちを思い出すように言われ、自分の本当の想いに気付く陽芽が描かれています。最初は演技(ソトヅラ)のつもりだった陽芽が、自分の気持ちに気付き、悩むシーンです。私はこのシーンも、大好きなのです。
よく見る物語類型の例。水をかぶるとパンダになるという設定より、ふたりが面識のないまま許婚になっていたという設定のほうが大事だったと思います。
わたゆりの魅力的な「キャラクター」について
私がわたゆりで最も魅力的だと思っているものは、表情豊かなキャラクターたちです。わたゆりのキャラクターの表情は、わかりやすい表情もありますが、様々な感情の織り交ざった、複雑な表情をすることがあります。そのときの感情について、想像を巡らせるのが、わたしがわたゆりで楽しみにしていることのひとつです。
陽芽について
キャラクターたちのなかでも、主人公の白木陽芽は大好きなキャラクターです。自信過剰で、八方美人、演技が良いだけの、性格の悪いキャラクターに見えて、実は演技が良い分、他が適当で、注文を取るときにワンフレーズも言えず噛んでしまう、ぽんこつで可愛いキャラクター、と思っていたら、実は友達想いで、優しくて、他者を守るために思い切って自分を犠牲にできる、カッコいい、素敵なキャラクターです。
陽芽はシフト1では、表面上は性格の良いキャラクターを演じ、裏では周囲を見下すような、表裏のあるキャラクターとして描かれています。しかし、話が進むにつれて、陽芽にはどうも、もう一つの顔があるのだと気づきます。そして。どうもそれが本当の素のようだと、気づかされました。
最初に感じたのはシフト2です。果乃子が陽芽を、演技が良い分、他が適当だと評しています。私は、陽芽は計算高く、抜け目がなく、立ち回りが上手で、ついでに勉強もできるキャラクターなのだと思っていましたので、これは意外でした。友だちに、しかもわりと大人しそうな子に、こんな評価をされる陽芽を、とても以外に感じたことを覚えています。
次にシフト3、果乃子がリーベに来た翌日、陽芽はモノローグで、友だちを身代わりにはできないと言っています。シフト2までの印象では、陽芽は、友だちは利用するもの、利用できないヤツとは友達にはならない、と、そんな性格の悪いキャラクターなのだと思っていましたので、ここでも私は、陽芽の意外な面を見たように思いました。
このころ、私は陽芽というキャラクターがわからなくなりました。シフト4で、オーダー取りのミスをカバーしてくれた美月の顔を覗き込んでお礼を言うシーンがあります。私は、これが演技なのか、本当に感謝しているのか、どちらなのだろうと思っていたことを覚えています。
そして、さらに話が進むと、面白いことに、表裏があるというキャラクター設定はそのままに、この二つの意外な面を上手に取り込んでいくのです。表裏がありつつも、実は本人が思っているほど完璧ではなく、友だち想いの、つまり本当の、表でも裏でもない、素の面が徐々に現れてきます。
そして、自分に嘘をついて美月を守ろうとする陽芽に、私はやっと彼女の本質に気付きました。
表裏のあるキャラクターとしてスタートし、美月と同じく、陽芽のことがわからなくなりながらも、シフト9・シフト10で描かれる彼女の素の表情に、本当に陽芽は優しい子なのだと確信できたときに、私は美月の体験を、そのまま自分も体験していたのだと気づきました。
「性格の悪い子かもしれない」というところからスタートし、「本当はいい子なのかもしれない」「でも演技かもしれない」と、陽芽のことがわからなくなりながら、最後に陽芽の気持ちを確信できたとき、美月の口からこぼれる「ごめんなさい」の言葉は、私が美月から陽芽に伝えて欲しい事が、そのままセリフになっていたように思います。
自身の夢について、モノローグで熱く語る主人公。素敵な笑顔です。
仲良しペアについて
陽芽と姉妹になる美月は、登場初期、小学生時代をみてもあまり印象の変わるキャラクターではなかったように思います。リーベでは優しい先輩を演じていますが、裏では自分にも他人にも厳しく、真面目で、まっすぐな人です。ひとつ意外だったことは、これほど器用に優しい先輩となれる美月が、素ではとてもとても不器用なひとだったということでしょうか。実直で真面目で、それ故に孤立して、傷付いていたのでは無いでしょうか。私は、この美月と陽芽の、仲良しペアのふたりが大好きなのです。
この仲良しペアが大好きな理由は、すこし考えてしまいます。
性格が悪く見えて、本当はとても優しい陽芽と、厳しくて融通の利かない、不器用でまじめな美月、というふたりです。性格的な難点が、キャラクターを魅力的に見せるのはよく言われていることです。ですが、それだけではない、ある種の不安定さみたいなものが、ふたりを応援する気持ちにつながっているように思います。
この不安定さは、たとえば美月は、純加に陽芽のことを、演技で冷やかされるようなことを言われ、思わずゲストの前で声を張ってしまうシーンがあります。陽芽は陽芽で、美月を守ろうとするあまり、ゲストの前で無茶をするところがあります。このふたりの、相手を思いやるあまり、周囲に迷惑をかけてしまいかねない行動が、ふたりの未成熟さをよく表していると思います。実際に、五年前、相手のことを思いやるあまり、ふたりの関係が壊れてしまったことがあります。
まだ大人になり切れないふたりの、不安定で、わずかなことでバランスを崩しかねない、しかし、どこまでいってもお互いのことを思いあう二人だからこそ、壊れないよう、応援したくなってしまうのではと、思っています。
デフォルメ顔で「きゅん!」、からのこの表情をみると、まだまだ恋仲になるのは遠そうでしょうか。
ふたりの関係について
私が、先からふたりのことを頑なに「仲良しペア」と呼んでいるのは、ふたりの関係に、その呼称に、迷っているからです。「姉妹」という呼称は、ふたりがリーベで働いている時のもので、素のふたりの関係とは異なるでしょう。「友達」ではどうでしょうか。ただの友達では、すこし寂しい気がします。しかし「親友」と呼ぶと、関係がそこにとどまってしまいそうで、すこしためらってしまいます。ふたりに、恋仲になってほしいという期待を込めて、今はまだ、「仲良しペア」という作中の呼称がちょうどよいように思います。
ふたりが今後もし、恋仲になるとしたら、どの様に始まり、どんな日常を送るのか、想像するだけで幸せになります。
ですが、それは、まだまだこれから描かれていくことでしょう。もしかしたら、思わぬ形の物語になるかもしれませんが、きっと、ふたりがお互いを思いあっているかぎりは、素敵な物語になっていくのでしょう。
おわりに
ここまで、わたゆりの「設定」「キャラクター」のそれぞれ語りたい部分に関して、好きなように書いてきました。
もうすこし、たとえば「陽芽が玉の輿を目指すのはなぜなのか」とか「美月のリーベで働き始めたきっかけ」とか「陽芽はなぜ美月や果乃子のような孤立しやすい子と惹かれ合うのか」とか、想像も交えてここに残しておこうかとも思うのですが、果てのないことになりそうですので、このあたりで終わらせたいと思います。
「私の百合はお仕事です!」の二巻の続き、シフト12は一迅社の「コミック百合姫 2018年1月号」から読めるようです。ちょうど巻頭カラーの回です。
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2018/1/29 追記、わたゆりの著作者である未幡先生にリツイートいただき、わたゆりファンの方のお目にかかる機会をいただきました。未幡先生、読んでくださった方、本当にありがとうございます。
2018/1/29 誤字、表現を修正。